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« 経済の動向 | メイン | 犬の主要な腎臓・泌尿器疾患 »

2010/01/15

猫の主要な心臓疾患

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1、犬糸状虫症-猫

萩尾光美教授(宮崎大学・獣医学教室、AHS会員)の講義:「犬糸状虫症:予防・診断・治療の最近の考え方」から抜粋しました。

最新版のガイドラインについては、AHSから猫の2008年に出版された。

HARD: 感染後3~4ヶ月でL5が肺動脈に移行したときに起こる肺動脈や肺の組織に急性炎症反応、すなわち犬糸状虫随伴呼吸器疾患がHARDである。L5が死滅後、栓塞症や致死的な肺の急性肺障害を引き起こす。このHARDの病変は未成熟虫がいなくなった後も残存するので、さらにやっかいである。

猫の犬糸状虫症は数少ない感染で重症になることがあります。猫は主に肺に障害を起こします。いままで、猫のフィラリア症が注目されなかったのは、診断方法が難しく、フィラリア成虫の発見が困難だったためです。猫のフィラリア症の症状は、咳、呼吸困難、嘔吐、沈うつ、疲労、元気消失などです。HARDになると、肺に広範囲の出血を起こします。また、フィラリアは、脳などに寄生することがあります。日本糸状虫症研究会の調査によると、日本では、5分の1~6分の1の開業獣医師が猫にもフィラリア予防薬(例えば、カルドメック チュアブルFXは体重1kg当たりイベルメクチンとして24~48㎍)を処方しています。詳しいことは最寄の獣医師にお尋ねください。猫では成虫駆除は副作用が多すぎるので、現在のところ積極的な成虫駆除は行いません。ですので、猫にも犬糸状虫症予防剤を投与し、もし、フィラリアに感染していたら予防剤を32ヶ月以上継続して与え、成虫の寿命がきて、死ぬのを待つことが次善の策です。

検索! 大日本製薬 フィラリアのライフサイクル 指導 萩尾光美 宮崎大学教授

検索! 猫もフィラリア症(犬糸状虫症)にかかりますやっぱり予防が大切 メリアル

検索! American Feline Heartworm Disease Council

検索!WSAVA

2、うっ血性心不全-右心系

新陳代謝に必要な量の血液を排出できません。

症状

全身の静脈のうっ滞を引き起こします。その結果、腹水、胸水などが貯留します。元気消失、運動不耐性、呼吸困難、稀に、腹水によって腹部が膨満します。右心系の心筋機能不全(突発性拡張性心筋症など。)右室への圧負荷(犬糸状虫症、肺動脈狭窄など。)右室充満障害(心嚢水貯留、三尖弁狭窄症など。)律動異常(徐脈など。)などがあります。

診断

血液検査。胸部X線検査:右心拡大、後大静脈拡張、胸水など。心エコー検査:心嚢水貯留、心臓腫瘤、先天性疾患など。心電図検査:心嚢水や胸水貯留で低電位。あるいは、右心拡大では増高P波、深いS波、右軸偏位など。

治療

ナトリウム制限、利尿剤、ジゴキシン(ジゴキシン中毒に注意する。)、エナラプリルなど。

検索! 猫の循環器

3、猫のうっ血性心不全-左心系

左心系の機能不全によって全身の新陳代謝を充足するだけの血液を排出できない状態です。

症状

元気消失、運動不耐性、失神などの症状を呈します。腎臓の血流が悪いので腎前性の高窒素血症を起こします。肺水腫になる猫もいます。

診断

聴診:心雑音が聞こえます。X線検査:左心系と肺動脈の拡大。心エコー検査:左心房拡大、先天性疾患、心嚢水を検査します。心電図:心房性、心室性不整脈、幅の広いP波、波形が高く幅が広いQRS群。正常の場合もある。

治療

治療は困難を極めます。ナトリウム制限、利尿剤、ジゴキシン0.01mg/kgを48時間毎、ニトログリセリン、ACE阻害剤エラナプリル、ドパミン、トブタミンなどです。獣医師によって治療法と処方が違います。

検索! 犬猫自然食本舗 猫の病気と症状 循環器の病気

検索! 猫のヘルシー生活ガイド 心臓の病気について 

4、猫の胸水

胸膜腔内に体液が貯留します。

症状

呼吸困難、呼吸が浅い頻呼吸、開口呼吸、座位呼吸、チアノーゼ、運動不耐性、発咳、元気消失、食欲不振など。

診断

聴診:心音、肺音の減弱。または、心音が聞こえません。胸部打診で鈍い音がします。X線検査:肺葉間裂溝線、肋横隔膜部での肺葉の鈍化など、胸水の所見を調べます。心エコー検査:心疾患、横隔膜ヘルニア、縦隔腫瘤を検査します。心エコー検査は、胸腔穿刺術の前に行なうとよい。猫のストレスに注意する。

治療

胸腔穿刺術、利尿剤、場合によっては循環器専門の獣医科で外科手術を受けさせる。予後は一般的に極めて悪い。

検索! Petwell 腫瘍になる(リンパ腫) 赤坂動物病院医療ディレクター石田卓夫

5、猫の全身性高血圧症

心収縮期、心拡張期動脈圧の持続的上昇を呈します。高齢猫に多い疾患です。

症状

急性の失明、網膜剥離、瞳孔散大、眼球出血、発作、見当識障害、運動失調、旋回、不全麻痺、心雑音などの症状を呈します。

診断

血液検査:高窒素血症(腎不全)、高血糖症(糖尿病)など。甲状腺機能亢進(T4高値)。X線診断:軽度の心拡大。心エコー検査:軽度の左房拡張、左室自由壁と心室中隔の肥大。

治療

カルシウムチャンネル阻害薬:(カルシウム拮抗剤であり、上室性頻脈に用いる。スローチャンネルの遮断により細胞内へのカルシウム流入を阻害する。血管拡張作用で末梢血管抵抗を減少させる。アムロジピン、猫:0.625mg/頭、1日1回~3回。重症には2倍量以上を投与します。副作用は、血圧低下、徐脈です。他の血管拡張剤との併用時には注意する。)

ACE阻害剤(アンギオテンシンⅠからアンギオテンシンⅡへの変換を阻害することによって、末梢血管抵抗、1回心拍出量を減少させる。例えば、エラナプリル、猫:0.25mg~0.5mg/kg、1日1~2回、もしくは、2日に1回、経口。)ナトリウム制限食など。

カルシウムチャンネル阻害剤、ACE阻害剤が効果的でない場合は、βアドレナリン遮断薬(心拍数、心拍出量を減少させ、レニン分泌を抑制する。プロプラノロール、猫:2.5~5mg/頭、1日1回~2回、経口。)、血管拡張剤(細動脈平滑筋に直接作用することで末梢血管抵抗を低下させる。塩酸ヒドララジン、猫:0.5~0.8mg/kg、1日2回、経口。)などを用いる。難しいことは心臓専門の獣医師に任せること。

検索! 循環器薬理 心不全治療薬

6、ジゴキシン中毒

猫のジゴキシンの安全域は狭く、腎機能低下でジゴキシン中毒に陥りやすい。肥満猫には脂肪を差し引いた体重分のジギタリスを投与する。利尿剤の併用で低カリウム血症を起こします。低カリウム血症、高カルシウム血症、低酸素症は不整脈を誘発することがある。

症状

嘔吐、下痢、食欲低下、元気消失、沈うつ、軽度の低体温など。

診断

伝導障害を起こした場合は、房室ブロック、不整脈、ST間隔の減少などがある。

治療

1日~3日間、ジゴキシンの投与を中止します。電解質で低カリウム血症を修正します。重度の徐脈にはアトロピンを注射します。重度の不整脈には、リドカイン、フェニントインで対応します。腎疾患の猫はジゴキシン投与量を減らします。猫は0.0025~0.004mg/kg、1日2回が推奨投与量です。犬は0.005~0.01mg/kg、1日2回なので猫の投薬量を間違わないこと。エリキシルは吸収がよいので10%減量します。

禁忌:キニジン、ジルチアゼム、β遮断薬、カルシウムチャンネル阻害薬、プロカインアミド、その他。

7、猫の心筋症

ア、拡張型心筋症

タウリン欠乏によって起こることが多かったが、キャットフードの研究によって稀な心筋症になった。

症状

頻呼吸、呼吸困難、食欲不振、虚弱、沈うつ、血栓栓塞症(大動脈血栓栓塞症)による疼痛と後肢の不全麻痺、低体温、毛細血管再充満時間延長、股動脈拍動の減弱など。

診断

X線検査:胸水、肺水腫になる症例もあります。心エコー検査:左房の拡大、拡張した左室、薄い心室壁、低い短縮率。心電図検査:左房、左室拡張、心室性、上室性不整脈の所見など。

治療

酸素吸入、胸腔穿刺、低体温の管理、ジゴキシン、フロセミド、ニトログリセリン、エナラプリル、タウリン、アスピリン、ヘパリン、βアドレナリン遮断薬など。

イ、拘束型心筋症

心室筋、心内膜下の限局性、または、び漫性の繊維化によって、うっ血性心不全、不整脈、大動脈血栓栓塞症を起こします。

症状

頻脈、股動脈拍動の喪失、後肢麻痺、収縮期雑音、頻呼吸、呼吸困難、元気消失、沈うつ、食欲不振、体重減少、チアノーゼ、失神、胸水、腹水など。

診断

X線検査:心房拡大。心エコー検査:右房、右室拡大、不均衡な程度の左房拡大、左室腔の減少、内径の狭窄、短縮率のわずかな低下、心膜液貯留など。高エコー反射性の血栓が見えるときがある。心電図検査:洞性頻拍、脚ブロック、上室や心室性頻拍、心房細動など。

治療

酸素吸入、胸腔穿刺による胸水除去、低ナトリウムの輸液、ラシックス(脱水、高窒素血症、低カリウム血症に注意する。0.5~2mg/kg)、ニトログリセリン軟膏(低血圧に注意する。2~4mg、1日3回、0.25~0.5cm/頭)、上室性不整脈にジルチアゼム(カルシウムチャンネル阻害剤、スローチャンネルの遮断により、細胞内へのカルシウム流入を遮断する。上室性頻脈、高血圧、猫の肥大性心筋症に用いる。徐脈、房室ブロック、心室性不整脈に注意する。ヘルベッサー30mg錠、1.75~2.4mg/kg、1日3回)、心室頻拍にはリドカイン(期外収縮、発作性頻脈に対して用いる。伝導を障害せずに位相の脱分極を抑制する。上室性不整脈には有効ではない。猫は感受性が高い。中枢神経系の副作用に注意する。2%キシロカイン1mlは20mg、0.25~0.5mg/kg、ゆっくり点滴)、上室性や心室性不整脈は、βアドレナリン遮断薬プロプラノロール(心臓抑制、心拍数の減少、心排出量の減少、血圧を下げるために用いる。心不全の悪化、徐脈、房室ブロック、低血圧に注意する。気管支狭窄作用があるので喘息の猫には禁忌。インデラル10mg錠、2.5~5mg/頭、経口、1日2~3回)、ACE阻害剤、エラナプリル(高窒素血症、低血圧、高カリウム血症に注意する。0.25~0.5mg/kg、経口、1日1回)、ジゴキシン(高窒素血症、房室ブロック、心室性不整脈に注意する。0.007mg、経口、48時間こと)、血栓予防はアスピリン(80mg、経口、1日1回)。経過観察は心電図とX線検査。

ウ、肥大型心筋症

左房拡大。左室の拡張はないが、心室自由壁や心室中隔の異常な求心性肥大があります。肺水腫、胸水、大動脈血栓栓塞症、僧房弁閉鎖不全などを起こします。不整脈、高窒素血症になります。

症状

呼吸困難、食欲不振、嘔吐、運動不耐性、虚脱、突然死など。

診断

収縮期雑音、股動脈拍動の減弱、肺r音、四肢の冷却、疼痛、後肢麻痺、不整脈を調べます。X線検査:拡張した両心房によってバレンタインハート型心陰影、肺水腫、胸水などがあります。心エコー検査:左房拡大、心室中隔の肥大、左室後壁の肥大(収縮期の壁の厚さは6mm以上)、乳頭筋の肥大、小さい心室内腔、短縮率は高め。心電図検査:洞性頻脈(240以上)、心房、心室期外収縮、あるいは、正常な心電図など。

治療

フロセミド(脱水、腎前性窒素血症、低カリウム血症に注意する。1~4mg/kg、1日3回)、ニトログリセリン(0.6~1.3cm、1日3~4回、間欠的に使用)、ジルチアゼム(効能:洞調律の緩徐化、上室性不整脈の改善、拡張機能の改善、冠状血管拡張、血小板抑制など。7.5~15mg/頭、1日3回)、カルベシロール、アテノロール(6.25~12.5mg/頭)、エナラプリル(0.25~0.5mg/kg)、アスピリン(80mg、2~3日ごと)など。

検索! CAPライブラリー

検索! Dr.小宮山の伴侶動物へのやさしい(優しい)獣医学 猫の心筋症

8、心雑音

収縮期心雑音は第1音と第2音の間の収縮期に起こります。拡張期心雑音は第2音と第1音の拡張期に起こります。連続性雑音、往復雑音は、大部分で、もしくは、全てを通して聴診できます。

雑音の重度分類

第Ⅰ度:聴診器でかろうじて聴取できる雑音。第Ⅱ度:容易に聴取できる弱い雑音。第Ⅲ度:中間的な雑音。第Ⅳ度:明白な体感振動を伴う大きな雑音。第Ⅴ度:明白な体感振動を伴う非常に大きな雑音。第Ⅵ度:明白な体感振動を伴う非常に大きな雑音。耳を近づけるだけで聴診器でなくても聞き取れる雑音。

聴診部位

僧房弁領域:左第5~第6肋間、胸骨から脊椎骨への4分の1部。大動脈弁領域:左第2~第3肋間、肺動脈弁領域:左第2~第3肋間、胸骨から脊椎骨方向へ3分の1強。三尖弁領域:右第4~第5肋間、肋骨肋軟骨接合部より下部。

収縮期雑音:左側胸壁:僧房弁膜症、心筋症と房室弁閉鎖不全、僧房弁異形成、大動脈狭窄、肺動脈狭窄、心房中隔欠損症、犬糸状虫症、甲状腺機能亢進症、ファロー四徴症、貧血など。

収縮期雑音:右側胸壁:大動脈狭窄、三尖弁内膜症、三尖弁異形成、心室中隔欠損症など。

拡張期雑音:僧房弁狭窄、三尖弁狭窄、大動脈弁膜炎、肺動脈弁膜炎など。

心雑音単独では治療指針は立てられません。X線検査、心エコー検査、心電図で評価します。

9、心室期外収縮

心臓のインパルスが心室内から発生する疾患です。P波はQRS群から解離します。(心房期外収縮はP波を伴う。)QRS群は幅広く、異なった波形を示します。心筋症、甲状腺機能亢進の猫などでみられます。

症状

虚弱、運動不耐性、失神、突然死など。

診断

聴診:第1音や第2音の分裂が聴取されることがあります。触診で脈の欠落などもあります。血液検査:アミラーゼの上昇は膵炎からの心筋炎を考える。心エコー検査:構造的な心疾患を検査する。心電図検査:ホルダー心電計のある循環器専門の獣医科で検査する。

治療

低カリウム血症を補正します。β遮断薬アテノロール(テノーミン、高血圧、上室性頻脈に使用する。除脈と心ブロックの危険を伴う。過敏な猫は気管支痙攣が起こる。6.25mg~12.5mg、経口、1日2回)、不整脈が制御されるまでは、アトロピン、エピネフリン、ドパミンなどは使用しない。猫はβ遮断薬に耐えられないので、ソタロール、プロカインアミドを使用する。猫にはキニジンは使用しないのが原則です。

10、心室細動

心室筋が細動する心室性不整脈。P波はありません。QRS群も見られない。無秩序、不規則な調律。振動の大きい粗細動、振動の小さい細かい細動があります。心室の活動が無効なので、心拍出量が急激に低下し、死の1歩手前です。電気的除細動を行なわないと死ぬことが多い。処置:体外式除細動器の設備がある循環器専門の獣医科で、50~100ワット/秒(猫)の除細動を受ける。初回の除細動で効果がない場合、各ショック毎にワット数を増加させる。除細動器がない場合は、成功率は低いが、前胸部、心臓上の胸壁を平手で鋭く殴打します。エピネフリン(ボスミン1mlは1mg=1000μg。ボスミン1mlを10mlの生理食塩水で希釈し、心電図を見ながら、0.05~0.5mg/頭lを静脈注射します。必要に応じて、心電図を見ながら、5分毎に静脈注射する。気管内注射、舌内注射も可能。アナフィラキシーショックには、2.5~5μg/kgを静脈注射する。または、50μg~200μg/kgを気管内投与します。)、低体温、酸-塩基平衡を改善します。除細動が成功したら、心室性頻脈の発現に対して猫にリドカインを慎重に投与します。殆どの場合、死亡する。

検索! ハート先生の心電図教室 心室性不整脈>心室細動

検索! 日本ベッツグループ 動物はなぜ病気になるのでしょうか?

11、心室中隔欠損症

左心室と右心室が欠損孔で通じています。先天性心奇形の1つです。

症状:軽症は無症状です。重症になると、発咳、呼吸困難、運動不耐性、失神などがあります。右-左短絡では雑音は明確ではありません。第Ⅱ音の分裂を伴うことがあります。収縮期雑音は右側胸壁上で明瞭に聴取されます。外科手術は難易度が高い危険な手術なので、うっ血性心不全を起こした猫は予後不良です。

診断

X線検査:大きな欠損孔では左心、また、両心拡大があります。右-左短絡では右心拡大があります。心エコー検査:欠損孔が確認できるときがあります。アーチファクトに注意します。Bモード心エコー法で、左室拡張、肥大を伴う左房拡張があります。確定診断はドップラー心エコー法で行ないます。循環器専門の獣医科で診察します。心電図検査:左房拡大、左室肥大、右室肥大、あるいは、右室拡大の所見があります。

治療

ナトリウム制限食、フロセミド、ACE阻害剤(エラナプリル)、ジゴキシンなど。

検索! CAP 2008年11月号「犬と猫の実践心エコー図検査」 心室中隔欠損症

検索! ロンパールーム 猫、心室中隔欠損症

12、猫の心肺停止

呼吸機能、心機能の停止。呼吸停止の後で心停止になります。

症状:意識喪失、あえぎ、呼吸停止、チアノーゼ、抹消の脈の欠如、心音の聴取不可、刺激に対する反応の欠如、低体温、散瞳など。

診断

蘇生を優先します。聴診、心エコー検査、心電図検査。

救命処置、治療

A:気道確保、気管内挿管など。

B:人工呼吸(80~100回/分)、酸素投与量は150ml/kg/分。

C:血液循環の確保。高速の輸液療法。

D:硫酸アトロピン(1アンプルは0.5mg、0.04mg/kg、IV,IM,SC、エピネフリン(ボスミン1mlは1mg=1000μg、0.05~0.5mg/頭、IV、局所壊死を起こし易いので、生理食塩水で希釈して、50μg/kg、気管内投与)、除細動処置。

E:正確な心電図の解釈。多くは予後不良です。

検索! 猫の救急マニュアル アイドルキャッツ

13、心房粗動、心房細動

心房粗動:心房調律は規則的なことが多い。基線はF波。レートは300~400回/分。心室の伝導様式は様々。QRS群は正常に見えます。心房細動:P波の消失。基線はf波。心室レートの方は220回/分以上。QRS群は正常に見えます。心房収縮が欠如して心拍出量が減少します。

症状

発咳、頻呼吸、呼吸困難、運動不耐性、失神など。

診断

聴診、末梢の脈の欠如、X線検査、心エコー検査、心電図検査など。

治療

ジゴキシン(頻脈、心房粗動、細動の猫に使用する。0.005mg/kg、1日~2日に1回)、カルシウムチャンネル阻害剤(上室性頻脈、高血圧、猫の肥大型心筋症に使用。ジルチアゼム、1.75~2.4mg/kg、1日3回)。房室ブロックがあれば教科書の注意書きを読む。

検索! ペット腎不全情報ブック 将来の心房細動への道 ATHENA試験の重要性強調

14、心房中隔欠損症

左心房と右心房が心房中隔の欠損孔を通じて短絡します。犬よりも猫に多い先天性疾患です。

症状

欠損孔が小さければ無症状。大きくなるにつれて、運動不耐性、失神、呼吸困難などの症状がでます。

診断

X線検査:大きな欠損孔で、右心、肺血管の拡大。心エコー検査:右心房、右心室の拡張。欠損孔の検査。ドップラー法は優れた検査なので、循環器専門の獣医科で診察を受けさせる。心電図検査:右心室の拡大所見。不整脈、心室内の伝導障害など。

治療

減塩食、フロセミド1~2mg/kg、1日2~3回、ACE阻害剤、エラナプリル、0.5mg/kg、経口、1日1~2回。

検索! 動物臨床医学 犬猫の循環器疾患1521例の発生状況に対する調査 阿武寿美子、高島一昭、山根義久

15、心房停止

心電図でP波が欠如しています。心拍数は一般的に遅い。

高カリウム血症性心房停止:血清カリウム濃度が8.5mEq/ml以上で高カリウム血症性心房停止になります。洞結節は機能するが、生成された刺激が心房筋を興奮させられないのでP波が欠如します。心拍数は、正常、あるいは、遅い。調律は、規則的、あるいは、不規則。QRS群は幅広く、カリウム値の上昇とともに幅が広くなり、10mEq/ml以上ではQRS群は二峰性の曲線を描きます。アトロピンで心拍数はわずかに上昇します。副腎皮質機能低下症で起こり易い。また、心筋症や、尿路閉塞、尿路波裂、乏尿、無尿による腎不全などでも起こります。持続性心房停止:心房筋のジストロフィーによる。

症状

元気消失、失神、除脈。

診断

血液検査:カリウム値、Na/K比27は以下(副腎皮質機能低下症)。高窒素血症の検査など。心エコー検査:心拡大、心筋収縮機能の低下などを検査します。

治療

0.9%生理食塩水の積極的な点滴。尿路の確保(外科手術、処置)。インシュリン、ブドウ糖、重炭酸ナトリウム(メイロン)、グルコン酸カルシウム(カルチコール、致死的な状態から洞調律へ復帰させるのに有用)。禁忌:カリウムを含む補液。持続性心房停止は循環器専門の獣医科で受診させる。電解質の監視をする。

検索! KAWANO'S HOMEPAGE 電解質異常 高カリウム血症

検索! 麻酔薬と麻酔法 獣医の医療ミス

16、大動脈弁上狭窄症

大動脈弁上の左室流出路が繊維組織によって狭窄します。また、細菌性内膜炎で狭窄することもあります。

症状

軽度な狭窄は無症状です。重症になると、不整脈、左心系のうっ血性心不全、失神、突然死を起こします。

診断

聴診:左側第4肋間心基部から肋軟骨接合部付近で収縮期駆出性雑音が聞ける。X線検査:左心拡大。心エコー検査:左室壁、心室中隔の肥厚、大動脈弁の近位部の狭窄、弁の肥厚を確認する。カラードップラー心エコー法は狭窄の遠位部で乱流ジェット流が分かるので、循環器専門の獣医科で受診させる。心電図検査:第Ⅱ誘導でR波が0.9mV以上。QRS群が0.04秒を超えることがある。

治療

非選択的β遮断薬、プロプラノロール(β1受容体を遮断して、心筋の活動を抑制、心排出量を減少。頻脈性不整脈の予防。心拍数を下げ、血圧を低下させる。インデラル、0.4~1.2mg/頭、経口、1日2~3回)、ジルチアゼム(ヘルベッサー、0.5~2.5mg/kg、1日3回)、抗生物質など。

検索! ZAKZAK 社会 大動脈狭窄症の画期的治療法を考案 尾崎重之教授

17、大動脈血栓栓塞症

肥大型、拘束型、拡張型心筋症など、重度な心筋疾患の猫が罹患します。うっ血、凝固亢進などによって左心房内に生じた血栓、血餅が大動脈内を移動し、その大動脈が支配する組織に重度な虚血が生じます。そして、様々な程度の疼痛、1肢、あるいは、複数肢の不全麻痺が起きます。

症状

歩行異常、頻呼吸、呼吸困難、痛がって鳴く。不安な様子など。

診断

触診:疼痛がある。股動脈拍動の減弱、消失。爪床や肉球のチアノーゼ、蒼白、聴診:心雑音、不整脈、頻呼吸、呼吸困難。血液検査:高血糖、血液尿素窒素の増加。

X線検査:心陰影の拡大、肺水腫などを検査する。

心エコー検査:左心房拡大(左心房と大動脈の比が2.0以上)、左心房内の血栓(もやもやエコー)を注意深く観察する。左心室の肥大を調べる。

心電図検査:洞性頻脈、心房細動、上室性不整脈、心室性不整脈、あるいは、除脈などを調べる。左室拡大、左脚前肢ブロックなどに着目する。

治療

ナトリウム制限、ヘパリン(抗凝固薬、アンチトロンビンⅢ作用で抗凝固作用の促進、血栓形成の抑制、200単位/kg、1日3~4回。濃度は10単位/mlに生理食塩水で希釈します。予防量は、70単位/kg、1日2~3回)、アスピリン(抗血小板作用、5mg/頭、2~3日に1回、腸溶剤の使用は避ける。)、酒石酸ブトルファノール(非麻薬性の消炎鎮痛剤、スタドール、0.1~0,4mg/kg、1日3~4回)、フェンタニル など。再栓塞の可能性が高く、多くは安楽死、または死亡します。

検索! 猫のこと、インコちゃん every of everyday

18、洞性頻脈

洞調律だが、心拍数が240回/分以上です。PR間隔は一定。P波にQRS群が続きます。T波とP波は癒合することがあります。心拍が早過ぎると、拡張充満時間が短縮して心拍出量と冠状血流が不足します。

症状

無症状の猫もいますが、虚弱、運動不耐性、うっ血性心不全、呼吸困難、チアノーゼ、腹水、失神などの症状を呈する猫もいます。

診断

血液検査:甲状腺機能亢進症の検査。X線検査:原発性心疾患の検査。超音波検査:心エコー、副腎腫瘤の検査など。前胸部殴打法:洞性頻拍では変化しないが、心室性不整脈では殴打時に拍動が減少します。

治療

運動制限、減塩食。ジゴキシン、利尿剤、ACE阻害剤、ジルチアゼムなどを投与する。

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19、肺水腫

肺胞腔、肺間質に体液が過剰に貯留し、肺でのガス交換が不十分になります。

症状

頻呼吸、呼吸困難、開口呼吸など。外鼻孔、口腔から淡紅色の泡沫が出ていると極めて重症です。

診断

聴診:捻髪音、喘鳴音をある。X線検査:右肺後葉部の肺胞パターン、間質パターンを調べます。心臓肥大など。超音波検査:肺水腫の抽出は困難です。

治療

酸素吸入、5L/分、血液量減少で補液が必要ならば生理食塩水で水和します。フロセミド、スピロノラクトン、ACE阻害剤(エラナプリル)、ヒドララジン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、アミノフィリン、テオフィリン、ジアゼパム、コルチコステロイドなどを投与します。

検索! 猫の医療辞典 肺水腫

20、熱射病

換気のない部屋に猫が閉じ込められて、稀に、猫が熱射病になります。直腸温は41度Cを超えます。42.7度C以上の直腸温では多臓器不全(神経系、心血管系、消化器系、肝胆管系、腎・泌尿器系、筋骨格系、血液・リンパ系など)になります。43度C、5分間の直腸温で予後不良です。

症状

41度C以上の高体温、あえぎ、呼吸困難、流涎、粘膜充血、点状出血、頻脈、心律動異常、ショック、吐血、血便、筋震顫、痙攣、昏睡、呼吸停止、心肺停止など。

診断

41度C以上の直腸温、血液検査値の異常など。X線検査、超音波検査など。

治療

最も大切な処置は、水道水を流し続けている水風呂(ナイロンのゴミ袋でも代用できる)に入れること。水道水をかけます。直腸温度が39.4度Cに落ちたら冷却を中止します。ラクテックG、重炭酸ナトリウム、抗生物質、コルチコステロイド、フロセミド、ヘパリンなど。心室性不整脈にリドカイン、痙攣にセルシンなど。

検索! 熱射病について 「熱射病」その予防と応急処置

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