犬の主要な感染症
1、犬ジステンパー
犬ジステンパーウイルスが空気感染、泡沫感染、経口感染します。
症状
感染初期に高熱が出ますが気付かないこともあります。鼻汁、目やに、食欲不振、元気消失、肺炎症状、消化器症状などを呈します。感染すると独特なジステンパー臭があります。症状や後遺症として、神経症状、運動失調、不全麻痺、麻痺、癲癇などがあります。死亡率は50%ほどで、安楽死に至る場合もあります。
診断
独特なジステンパー臭があります。だから、匂いだけでジステンパーと分かります。封入体の検出、血清学的診断など。
治療
ジステンパーの極めて初期にインターフェロンの注射をします。抗生物質などで治療しますが、神経症状が出ると、神経症状は長期に及びます。
検索! Gooペット 犬ジステンパー
2、カンピロバクター症
カンピロバクターはグラム陰性菌で、糞便、糞便に汚染された食物や飲物からの経口感染です。
症状
下痢、粘液便、水様血便、血便などがあります。食欲不振、嘔吐する犬もいます。
診断
検便すると、カンピロバクターは螺旋回転しながら、素早く泳いでいます。
治療
抗生物質と電解質溶液で治療します。抗生物質は、最低5日間投与します。ヒトに感染するので手洗いを励行します。
3、狂犬病
犬、猫、温血動物が感染します。ほぼ例外なく死に至る恐ろしい感染症です。だから、狂犬病予防法が制定されました。狂犬病ウイルスは創傷や粘膜面から進入します。
症状
麻痺、凶暴を呈する脳炎を起こします。
診断
脳内の細胞内にネグリ小体が見られる。
処置
治療は行なわない。診断が確定したら安楽死させます。
検索! 厚生労働省検疫所 海外旅行者のための感染症情報 狂犬病
検索! 平成22年度狂犬病予防注射日程 宮崎保健所 保健衛生課 29-5283
↑ 旧宮崎市内、田野地区、高岡地区、佐土原地区の日程です。
4、コロナウイルス感染症
犬コロナウイルスが原因です。
症状
嘔吐と下痢を起こし、食欲不振、元気消失になります。糞便によって感染し、世界中にある病気です。パルボウイルス感染症と同時感染すると重態となり、子犬は腸炎で死ぬことがあります。
診断
ウイルス分離
治療
電解質の投与。厳重な隔離が必要です。
検索! TINKER BELL ウイルスによる感染症 愛犬情報ティンカーベル
5、サルモネラ症
サルモネラの血清型は2,000以上あり、犬のおやつ、ゴミあさり、汚染された食料、水、糞便から感染します。グラム陰性菌で、腸間膜リンパ節に進入し、増殖します。細胞毒とエンテロトキシンが産生される結果、炎症が起こります。重症になると菌血症や敗血症になります。膿瘍、骨髄炎、髄膜炎、流産を起こすこともあります。更に重症になると、DIC(播腫性血管内凝固)や死に至ります。
症状
臨床的に健康な犬にもサルモネラがいます。ストレスなどを受けると次のような症状を起こす。下痢、嘔吐、食欲不振、発熱、雌犬のおりもの、元気消失など。
診断
糞便の培養、血液培養。
治療
電解質の補液、1日~2日の絶食、エンフロキサシン、コルチコステロイドなど。回復した犬は、数ヶ月間、間欠的にサルモネラを拝菌します。
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検索! IDSC サルモネラ感染症 国立感染症研究所細菌第1部 田村和満
6、新生子死亡
生後2週間以内の新生子が、低体温、低血糖、低酸素、脱水などの症状で死ぬ病気です。先天的な欠陥、様々な要因が考えられます。
症状
低体温(新生子の正常体温は35.5℃)、成長が遅く、食欲減退、元気消失、虚弱、呼吸困難、不活発、あるいは、常に泣きます。低血糖、脱水、下痢なども起こします。
診断
血液検査。病理検査。
治療
環境温度29~33℃、湿度55~65%に保つ。暖めたラクテックGの補液、アモキシシリン、電解質サポート、マンテンケフィール、エスビラックなど。
検索! 新生子異常について 犬の診療最前線-interzooより
7、トキソプラズマ症
Toxoplasma gondii コクシジウム類原虫の感染で、犬は中間宿主、猫は固有宿主です。
症状
殆どの犬は無症状です。症状は、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、黄疸、元気消失、体重減少、目やに、運動失調、不全麻痺、麻痺、脳神経不全、発作、震戦などです。
診断
血清学的検査。病理検査。
治療
クリンダマイシン、プレドニゾロン、トリブリッセンなど。猫の糞便を介してヒトへ感染します。
検索! トキソプラズマ症 ウィキペディア
8、膿瘍
膿性滲出物が局所に蓄積します。異物、病原菌、偏性嫌気性菌が原因です。
症状
皮下膿瘍、乳腺膿瘍、眼窩下膿瘍、肛門嚢炎、膿胸、心膜膿瘍、膵膿瘍、肝膿瘍、前立腺膿瘍など、膿瘍の発生部位によって症状が異なります。
診断
触診。視診。血液検査:白血球数、白血球分類、生化学検査。尿検査。細菌培養。X線検査。超音波検査:腫瘤が液体か、充実性かを検査する。膿汁は線状の液性像が見られます。異物を見ることもあります。
治療
膿瘍を排膿する。クリンダマイシン、トリブリッセン、ドキシサイクリン、バイトリルなどの抗生物質投与。外科手術。
9、バベシア症
マダニの吸血の際、Babesia gibusoni、Babesia canis、その他、新種の寄生性原虫が感染して、赤血球の破壊、免疫介在性容血性貧血を起こします。
症状
甚急性、急性、慢性、再発性の貧血、粘膜蒼白、発熱、元気消失、食欲不振、体重減少、レンガ色の便、黄色尿、黄疸など。
診断
血液塗沫:バベシア原虫を見つけます。貧血。高ビリルビン血症など。尿検査:高ビリルビン尿。
治療
ガナゼック、メトロニダゾール、クリンダマイシンなど。数回、再発する。2回目の再発は重度になることもあります。再発を少しでも抑えるためにクリンダマイシンを再発前に投与します。
10、ブドウ球菌感染症
球形のブドウ球菌はブドウの房のような菌塊を形成します。病原性の強い菌株はスタフィロコアグラーゼです。
症状
発熱、食欲不振、疼痛、感染した臓器により様々な症状を示します。膿皮症、外耳炎、膿瘍、乳腺炎、肺炎、子宮炎、膀胱炎、前立腺炎、骨髄炎、関節炎、毒素によるショックなど。
診断
直接顕微鏡検査。細胞診。X線検査。
治療
感受性検査が望ましい。セファロスポリン、エンフロキサシン、クロロマイセチン、クリンダマイシン、トリブリッセン、その他の抗生物質。排膿処置。
11、ブルセラ症
Burucella canis が接触感染します。影響を受けやすい器官は、妊娠子宮、胎子、精巣、前立腺、脾臓、リンパ節、椎間板、前部ブドウ膜などです。
症状
流産、おりもの、元気消失、リンパ節腫大、精巣上体の肥大や硬結萎縮、運動失調、脊椎の疼痛、前部ブドウ膜炎など。
診断
血清学的検査。病理検査など。
治療
去勢、テラマイシン、ビブラマイシンなど。
検索! ブルセラ症 日本医師会編
12、マイコプラズマ症
80属以上あり、共生菌、腐生菌として至る所に存在するグラム陰性桿菌です。
症状
肺炎、上部呼吸器感染症、結膜炎、腎臓・尿路感染症、生殖器感染症(流産、死産、不妊症)、多発性関節炎、結腸炎など。
診断
塗沫検査(ギムザ染色)。専門家による蛍光抗体法。
治療
ビブラマイシン。テトラサイクリンやクロマイは若齢犬には使用しません。
13、レプトスピラ症
Leptospila canicola、Leptospila icterohaemorrhagiaeが、皮膚、粘膜から感染して、腎炎、肝炎など、急性、慢性の疾患を起こします。また、呼吸器系、心血管系、生殖器系、その他の炎症を起こします。
症状
発熱、食欲不振、吐き気、沈うつ、筋肉痛、硬直、脱水、下痢、血便、黄疸、乏尿、無尿、多尿など。
診断
専門機関による血清学的検査。血液検査:高窒素血症、高クレアチニン血症、白血球増多など。
治療
ラクテックG、ドキシサイクリン、アンピシリンなど。ワクチンで予防します。