猫の主要な感染症
1、カンピロバクター
螺旋上に湾曲したグラム陰性菌です。カンピロバクターに感染するとすっぱい臭いの独特なカンピロバクター臭があります。糞便に汚染されたものを経口摂取することで感染します。野良猫に多い。治療しなければ、糞便への排泄は数ヶ月間に及びます。しかも、ヒトに感染することがあります。但し、カンピロバクターが感染していても下痢をしない猫がいます。
症状
下痢、粘液便、粘液血便、血便、悪臭便などを起こします。食欲不振になったり、嘔吐を起こすこともあります。
診断
検便:コルクの栓抜きの螺旋状で、素早く回転しながら直進している。
治療
抗生物質を5日間以上投与する。必要に応じて電解質を投与する。
2、猫クラミジア症
クラミジア(Clamidia Psittaci)は細胞内寄生細菌です。慢性の呼吸器感染、肺炎、結膜炎を起こします。猫集団の8%ほどが感染しています。
症状
くしゃみ、発咳、流涙、慢性の結膜炎、様々な程度の呼吸困難、食欲不振になります。
診断
結膜の掻爬検体のギムザ染色で細胞内封入体を見つける。
治療
ドキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、眼軟膏など。1ヶ月以上の治療が必要です。いまは予防ワクチンがあります。
検索! 猫のクラミジア症に対するクラプラン酸強化アモキシリン製剤 訳:竹内和義
検索! Weblio辞典 クラミジア
3、新生子死亡
生後2週間以内の新生子が、低体温、低血糖、低酸素、脱水などの症状で死ぬ病気です。先天的な欠陥、様々な要因が考えられます。
症状
低体温(新生子の正常体温は35.5℃)、成長が遅い、食欲減退、元気消失、虚弱、呼吸困難、不活発、あるいは、常に泣きます。低血糖、脱水、下痢なども起こします。
診断
血液検査。FeLV抗原検査、 FIV抗体検査。 病理検査。
治療
環境温度29~33℃、湿度55~65%に保ちます。暖めたラクテックGの補液、アモキシシリン、電解質サポート、マンテンケフィール、エスビラックなど。
検索! 猫のウイルス病公式サイト FeLVとは Dr.Ishida
4、トキソプラズマ症
Toxoplasma gondii コクシジウム類原虫の感染で、犬は中間宿主、猫は固有宿主です。
症状
殆どの猫は無症状です。症状は、発熱、食欲不振、嘔吐、下痢、黄疸、元気消失、体重減少、目やに、運動失調、不全麻痺、麻痺、脳神経不全、発作、震戦などです。
診断
血清学的検査。病理検査。
治療
クリンダマイシン、プレドニゾロン、トリブリッセンなど。猫の糞便を介してヒトへの感染がありえます。胎児に影響があるので妊婦は要注意です。
検索! 猫と赤ちゃんは仲良しこよし
5、猫カリシウイルス感染症
カリシウイルスが感染した細胞は破壊されます。感染から回復した猫は持続感染するので、長期間、唾液中にウイルスを排出します。
症状
発熱、食欲不振、目やに。舌、硬口蓋、口唇の潰瘍。流涎、肺炎、跛行など。
診断
血液検査:専門機関で、猫カリシウイルスに対する中和抗体価の上昇を検出します。視診:舌、硬口蓋の潰瘍を見つける。
治療
インターフェロン、電解質の補液、抗生物質、タリビット点眼など。ワクチンである程度予防できる病気です。
6、猫伝染性腹膜炎
FIPウイルスに感染して症状がでたならば非常に高い致死率の感染症です。猫コロナウイルス抗体陽性猫がFIPを発症するのは10%未満です。
症状
滲出型:体重減少、食欲不振、持続性の発熱、沈うつ、被毛の光沢消失、黄疸、眼の異常。非滲出型:体重減少、食欲不振、沈うつ、被毛の光沢消失、持続性の発熱、角膜混濁、前部ブドウ膜炎、虹彩の色調変化、神経系の異常など。
診断
滲出型:視診、触診で調べる。腹水の検査。血液検査。X線検査。超音波検査。病理検査。
治療
腹水除去、インターフェロン、プレドニゾロン、シクロフォスファミドなど。
検索! 猫伝染性腹膜炎(FIP) 日本獣医学フォーラム代表 石田卓夫
7、猫白血病ウイルス感染症
レトロウイルス感染によって猫が免疫不全になったり、腫瘍ができたりします。日本国内の野良猫の罹患率は10%です。感染猫は、唾液、涙、尿、糞便、胎盤感染、母乳などでウイルスを伝播します。
症状
感染後、数ヶ月して症状が現れます。リンパ腺腫大、鼻炎、結膜炎、角膜炎、口内炎、貧血、皮膚炎、下痢、進行性の運動失調など。
診断
血液検査:貧血、ELIZA、スナップ・FeLV/FIVコンポなどで検査。
治療
FeLV罹患猫を隔離する。インターフェロン、ドキシテトラサイクリン、化学療法、ワクチンで予防を試みる。
検索! 猫のウイルス病公式サイト FeLVとは Dr.Ishida
8、猫汎白血球減少症
猫パルボウイルスが感染して、治療しないと死亡率が極めて高い病気です。2週齢~6週齢の子猫が感染しやすく、症状も重い感染症です。だが、ワクチン接種で予防できます。
症状
嘔吐、脱水、沈うつ、汎白血球減少症の姿勢。小脳形成不全を起こすこともある。
診断
CPV抗原糞便免疫検査。血液検査:白血球減少症。病理検査など。
治療
インターフェロン、電解質の補液、抗生物質、30倍希釈のハイターで環境を消毒します。他の猫にワクチン注射を受けさせてください。
9、猫鼻気管炎ウイルス感染症
猫ヘルペスウイルスⅠ型は猫の呼吸器や眼に感染して細胞を破壊し、重篤な疾患を引き起こします。子猫が感染しやすい。ワクチンで予防できる病気です。
症状
発熱、鼻炎、くしゃみ、結膜炎、副鼻腔炎、角膜炎、全眼球炎など。
診断
症状を参考にする。専門機関での免疫蛍光法など。
治療
インターフェロン、電解質の補液、アモキシシリン、バイトリル、眼軟膏など。ワクチンで予防する。
10、猫免疫不全ウイルス感染症
レトロウイルスは猫に免疫不全疾患を引き起こします。感染すると、CD4⁺T細胞が徐々に減少します。野良猫ではかなりの感染率です。
症状
口内炎、歯肉炎、歯周炎、鼻炎、結膜炎、角膜炎、下痢、慢性の皮膚炎、リンパ肉腫などの腫瘍、発熱、食欲不振、体重減少、神経系の異常など。
診断
ELIZA。病理検査。
治療
インターフェロン、クリンダマイシン、プロナミド、マンテンケフィール、その他、最先端の薬剤など。
検索! 猫免疫不全(FIV)感染症 日本獣医学フォーラム代表 石田卓夫
11、膿瘍
膿性滲出物が局所に蓄積します。異物、病原菌、偏性嫌気性菌が原因です。
症状
皮下膿瘍(猫同士の喧嘩)、乳腺膿瘍、眼窩下膿瘍、肛門嚢炎、膿胸(肺炎の悪化)、心膜膿瘍、膵膿瘍、肝膿瘍など、膿瘍の発生部位によって症状が変化します。
診断
触診。視診。血液検査:白血球数、白血球分類、生化学検査。尿検査。細菌培養。X線検査。超音波検査:腫瘤が液体か、充実性かを検査します。膿汁は線状の液性像が見られます。異物を見ることもあります。
治療
膿瘍を排膿する。クリンダマイシン、トリブリッセン、ドキシサイクリン、バイトリルなどの抗生物質投与。外科手術。
12、ブドウ球菌感染症
球形のブドウ球菌はブドウの房の菌塊を形成します。病原性の強い菌株はスタフィロコアグラーゼです。
症状
発熱、食欲不振、疼痛、感染した臓器により様々な症状を呈します。膿皮症、外耳炎、膿瘍、口腔感染、結膜炎、乳腺炎、肺炎、子宮炎、膀胱炎、前立腺炎、骨髄炎、関節炎、毒素によるショックなど。
診断
直接顕微鏡検査。細胞診。X線検査。
治療
感受性検査が望ましい。セファロスポリン、エンフロキサシン、クロマイ、クリンダマイシン、トリブリッセン、その他の抗生物質。排膿処置。
検索! 黄色ブドウ球菌 ウィキペディア
13、マイコプラズマ症
80属以上あり、共生菌、腐生菌として至る所に存在するグラム陰性桿菌です。
症状
結膜炎、肺炎、上部呼吸器感染症、腎臓・尿路感染症、生殖器感染症(流産、死産、不妊症)、多発性関節炎、膿瘍など。
診断
塗沫検査(ギムザ染色)。専門機関による蛍光抗体法。
治療
ビブラマイシン、テトラサイクリン、その他の抗生物質。
検索! マイコプラズマ ウィキペディア